東京地方裁判所 平成3年(特わ)1822号 判決 1992年3月05日
本店所在地
東京都板橋区西台四丁目三番一四号
株式会社
ジェー・エス・クリエイション
右代表者代表取締役
小山田壯権
本籍
群馬県沼田市西原新町一三〇番地
住居
東京都板橋区西台四丁目三番一四号
会社役員
小山田壯権
昭和三二年一二月二日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官西村逸夫、弁護人鈴木薫各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社ジェー・エス・クリエイションを罰金二二〇〇万円に、被告人小山田壯権を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人小山田壯権に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社ジェー・エス・クリエイション(以下、被告会社という)は、東京都板橋区西台四丁目三番一四号(昭和六一年四月三〇日以前は、同区東新町二丁目一三番三号)に本店を置き、自動販売機及びビデオテープの販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(昭和六三年三月二五日以前は資本金二〇〇万円)の株式会社であり、被告人小山田壯権は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人小山田壯権は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二三三八万五一四〇円(別紙一の1に修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、右法人税の確定申告期限の経過後である同六二年六月一日、東京都板橋区大山東町三五番一号所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五万八八三一円であり、これに対する法人税額が六万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九一二万九三〇〇円と右申告税額との差額九〇六万一八〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れ
第二 昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六八一九万一六二三円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六三年五月三一日に、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六九万八九六七円であり、これに対する法人税額が一九万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二七六七万〇七〇〇円と右申告税額との差額二七四七万〇八〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れ
第三 昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八九四六万二四八三円(別紙一の3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同元年五月三一日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零であり、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三六六一万二七〇〇円(別紙二の3脱税額計算書のとおり)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人小山田壯権の当公判廷における供述
一 被告人小山田壯権の検察官に対する各供述調書
一 山本昭人(三通)、木下修造、寺嶋康之の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の売上高調査書
一 大蔵事務官作成の仕入調査書
一 大蔵事務官作成の給料手当調査書
一 大蔵事務官作成の車両費調査書
一 大蔵事務官作成の交際接待費調査書
一 大蔵事務官作成の賃借料調査書
一 大蔵事務官作成の普通預金調査書
一 大蔵事務官作成の短期貸付金調査書
一 大蔵事務官作成の代表者勘定調査書
一 板橋税務署長作成の証拠品提出書
一 登記官作成の登記簿謄本
判示第一、第二の各事実につき
一 大蔵事務官作成の保険料調査書
一 大蔵事務官作成の交際費損金不算入調査書
判示第一、第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の雑費調査書
判示第一の事実につき
一 押収してある確定申告書一袋(平成三年押第一一四三号の1)
判示第二、第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の期末棚卸高調査書
一 大蔵事務官作成の受取利息調査書
一 大蔵事務官作成の事業税認定損調査書
一 大蔵事務官作成の定期預金調査書
一 大蔵事務官作成の外貨預金調査書
判示第二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の2)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の期首棚卸高調査書
一 大蔵事務官作成の支払利息割引料調査書
一 大蔵事務官作成の損金不算入住民税利子割調査書
一 大蔵事務官作成の申告欠損金調査書
一 検察官事務官作成の各捜査報告書
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の3)
(法令の適用)
被告人小山田壯権の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、被告人小山田壯権の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人小山田壯権につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社につきいずれも情状により同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人小山田壯権につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人小山田壯権に対し加重した刑期の、被告会社に対し合算した罰金額の各範囲内で被告人小山田壯権を懲役一〇月に、被告会社を罰金二二〇〇万円にそれぞれ処し、被告人小山田壯権に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑・被告会社に対し、罰金二五〇〇万円、被告人小山田壯権に対し、懲役一〇月)
(裁判官 伊藤正髙)
別紙一の1
修正損益計算書
自 昭和61年4月1日
至 昭和62年3月31日
<省略>
別紙一の2
修正損益計算書
自 昭和62年4月1日
至 昭和63年3月31日
<省略>
別紙一の3
修正損益計算書
自 昭和63年4月1日
至 平成元年3月31日
<省略>
別紙二の1
脱税額計算書
自 昭和61年4月1日
至 昭和62年3月31日
<省略>
2 自 昭和62年4月1日
至 昭和63年3月31日
<省略>
別紙二の3
脱税額計算書
自 昭和63年4月1日
至 平成元年3月31日
<省略>